家紋用語
家紋の形を表す用語を解説します。
【 陰・陽 】
面で表すものを日向紋といい、線を用いて描いたものを陰紋という。
陰紋はその複線の間隔で総陰(そうかげ)、細中陰(ほそちゅうかげ)、中陰(ちゅうかげ)、太中陰(ふとちゅうかげ)などに分けられる。
【 比翼 】
陰紋と陽紋を一部分が重なるように並べて描いたもの。
【 石持ち地抜き 】
地と反対色に染めた紋形の中に、色を抜くように紋を描く表現方法。
【 表・裏 】
植物紋の花や銭紋などに見られる。通常は表から見た姿を描くが、花や銭などを裏返した姿で表現される。
【 鬼 】
植物紋で葉や花弁の先端を、鋸(のこぎり)のように鋭く尖らせて表現したものである。
【 覗き 】
丸や菱などの外枠の中に、紋の一部分だけを下から顔を出すように表現する。
【 捻じ 】
紋の中心軸をほんの少し回転させるように捻じって表現する。
【 横見 】
対象物を横から見た姿で描いたものである。とくに花を横から見て描く場合によく用いられる。
【 向う 】
描かれる対象物を正面から見た姿で書いたもの。兎の「真向い」や雀には「膨ら雀」がある。
【 隅立て 】
方形の家紋の角を頂点と底辺の位置になるように描いたもので、逆に辺が上下にくるものを「平(ひら)」と呼ぶ。
【 上・下 】
上下を逆転させるものをいう。例:上り藤、下り藤
、あた上下から向かい合わせで描く紋の名称にも「上・下」を用いる。
【 朧 】
紋形を明確にせず、ぼんやりとした印象を与える感覚的な表現方法。
【 崩し 】
奇を衒って基本的な形状や法則を崩した紋形で描く。
【 好み 】
安土桃山時代の茶人千利休や江戸時代の絵師の尾形光琳好みを連想するように表現した形状を描く。利休や光琳が描いたり使用したりしたわけではない。
【 結び 】
紋形を一筆書きのようにつなげて描く。または、一部分を交差させて結合させる。「結い」ともいう。
【 抜け 】
紋の部分を描くことなく抜き取って表現する描写法。
【 折れ 】
紋の一部分を折り曲げる。とくに植物の葉で多く用いられる表現方法。
【 乱れ 】
紋全体を意識してアシンメトリック(非対称)に描き、不規則に表現する。
【 踊リ 】
「乱れ」に似た表現方法だが、紋が踊っているような印象を与える形で描く。
【 擬態 】
まったく関連のない家紋を桐や蝶、車、巴、杏葉、蟹、菱など著名な紋に似せて描く表現方法。
【 並び 】
2つ以上の紋を左右対象に並べたものをいう。
【 違い 】
2つ以上の紋を、互い違いに交差させて描く。組み合わせ方によって「右手前」「左手前」などの区別を持つ家紋もある。
【 抱き 】
紋を歪ませて上と下の部分を近づけ、あるいは下部を交差させて密接に抱き合っているように、左右対称になるように描く。
【 対い 】
特定の向きを持つモチーフを上下、あるいは左右から向かい合わせて描く。
【 重ね 】
2つ以上の紋を、紋の一部で重なり合うように描く。
【 盛り 】
3つ以上の紋を、下から上に向かって数を減じながら積み重ねたように描く。
【 寄せ 】
3つ以上の紋を、一点に寄せて集めたように描く。
【 離れ 】
「寄せ」とは逆に、互いが距離を保つように隙間を空けて配置して描く。
【 頭合せ 】
2つ以上の紋の頭頂部を、中心に向けて寄せ集めて丸く描く。
【 尻合せ 】
2つ以上の紋の底部を、中心に向けて寄せ集めて丸く描く。
【 追い 】
2つ以上の紋が頭尾を接して前を追いかけているように見せる表現方法。
【 持ち合い 】
2つ以上の紋で、互いに一部分を共有するように描く表現方法。
【 繋ぎ 】
2つ以上の紋を、それぞれの一部分だけを連結ささ
【 組み 】
2つ以上の該や素材を、互い違いになるように超一合わせて描く
【 子持ち・入れ子 】
同じ形の紋を編小させて、中に収容するように描く。
【 割り 】
紋を切り落として分割したものを、再構成して1つの紋に組み上げたものを指す。
【 合成 】
種類の違う家紋を2つ以上組み合わせて描く。「稲に雀」や「羽子板に羽根」など関連性の高いモチーフを組み合わせることが多い。
また婚姻などにより2つの家紋を合せて用いる場合もある。
用語参考:日本の名字・家紋大辞典
家紋特集
さまざまな形の家紋の特集です。